フェイラーの故郷を訪ねて

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第1回 フェイラーの市(まち)、ホーエンベルク

~フェイラーを育んできた歴史と伝統を求め、
ドイツ・レーゲンスブルグを訪れました。~

古城を囲む、小さな市(まち)へ。

journey_img1フランクフルトから東へと、アウトバーンをひた走る。

鮮やかなグリーンの大地、

点在する教会とそれを取り巻く小さな町、

黄金色に輝く小麦畑や、青々と茂るブドウ畑。

豊かな自然の中に輝く鮮やかな色彩が

強い印象を残して、次々と流れていきます。

フェイラーの故郷、ホーエンベルク・・・

チェコとの国境にほど近い、

古城を囲む小さな市。人口1500人。

そこは、自然と歴史の薫りに包まれていました。

 

市のシンボルであるホーエンベルク城は12~13世紀に建てられたという古城。

跳ね橋の面影を残す橋を渡り、堅牢な石垣の建物の中に足を踏み入れると、

先ほど遠くからも見えた塔の上には、巨大な鳥の巣が。大きな鳥が数羽いて、

盛んに羽ばたきの練習をしています。なんと、これはコウノトリ。

春になるとやって来てこの塔の上で子育てをし、秋には遠くアフリカへと旅立っていくのだとか。

城の見張り台に立つと、眼下に広がる川の向こうはチェコ。まるで手が届きそうな近さです。

フェイラー社の創業者エルンスト・フェイラー氏とその夫人は第二次世界大戦の時に戦火を逃れ、

この地にやって来たという話を聞くと、今は平和そのものに見えるこの地も、

かつては数々の戦争によって激しく揺れ動いた地であったのだと・・・

時を越えてなお変わらぬ古城の静けさの中で、ひときわ感慨深く、思いをめぐらせました。

 

 

 

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ホーエンベルクを訪れたその日は、ちょうど年に一度の市をあげてのお祭りの日。

17世紀に市の独立を記念して始まったこのお祭りには、

市内の半数の人々が参加するといわれています。

さあ、にぎやかな楽隊が奏でる音楽にのって、

子どもたちとその家族による仮装パレードの始まりです。

伝統的な衣装に身を包んだみんなの笑顔が輝いています。

子どもも大人も本当に楽しそう。

炎天下、パレードを待ちわびる私たちを木陰の椅子へと招き入れてくれた老人の大きな手。

パレードの参加者に飲み物を差し入れる人々の手。

温かな時間の流れの中で、パレードは広場へと集まり、

お祭りはさらに大きく盛り上がっていきました。

 

 

 

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暮らしの中に咲く花々が、フェイラーの柄のモチーフに。

夏祭りの余韻を楽しみながら散策をすると、

青空と伸びやかに広がる緑の丘陵地帯、

そして白い壁に赤レンガ屋根の家々の鮮やかな彩りの中で、

きちんと手入れが行き届いた家々の庭には様々な種類の薔薇が咲き、

いたるところで野生のポピーの花が風に揺れていました。

長い時間を経て、なお愛され続けるフェイラー柄のモチーフ。

そのルーツは、毎日の暮らしの中で目にする身の回りの花々が、

短い夏をせいいっぱい色鮮やかに咲きほこる、

その様だったことに深い感動を覚えました。

そして、はみ出さんばかりの構図の広がりは、

この地の自然の伸びやかさであること。

フェイラーのハンカチを手にしたときの安堵と、

励まされ勇気が湧いてくるような気持ちは、

人々の心の豊かさと温かさであることを肌で感じました。

フェイラーのシュニール織に触れると心が動く理由。

それは、自然と歴史に育まれた創り手のぬくもり、

心地よい空間がつたわってくるからではないでしょうか。

 

 

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